絹本著色賢首菩薩図〈菱田春草筆/〉
けんぽんちゃくしょくけんしゅぼさつず
概要
春草は明治三十九年、岡倉天心【おかくらてんしん】・横山大観【よこやまたいがん】・下村観山【しもむらかんざん】らと共に茨城県五浦の地に居を移し、画業研鑽の生活に入ったが、本図はその成果として発表され、明治四十年 創立された第一回文展【ぶんてん】に出品され、二等第三席をうけた作品である。唐代の華厳教学【けごんきようがく】の大成者である賢首国師法蔵【けんじゆこくしほうぞう】の名高い講説の場面を新しい感覚で描写し、その画致まことに典雅であり、春草の画業を代表する一作としてまた近代日本画史上の佳作として看過しがたい。