旧千葉家住宅(岩手県遠野市綾織町) 主屋
ちばけじゅうたく しゅおく
概要
千葉家は、遠野市西寄りの山麓に小城のような屋敷を構えている。天保年間に主屋が建設され、大正末期頃までに現在のような屋敷構えが整った。主屋は、馬屋を前面に張り出してL形平面とする、いわゆる南部の曲り屋形式の民家で、主屋の座敷では面皮材の棹縁を使用するなど、瀟洒な意匠を見せている。
千葉家住宅は、南部曲り屋の分布域南縁に位置するとともに、遠野地方に典型的な平面をもち、洗練された座敷意匠を採用するなど、江戸末期の大型曲り屋民家として高い価値がある。また主屋の周囲には、江戸末期から大正期にかけて建設された附属建物が残り、その特異な敷地構成とともに豪農の屋敷構えをよく保っている。