妙見浦
みょうけんうら
概要
天草西目海岸ノ代表的風景地ニシテ石墨片岩ヨリ成レル南部十三佛附近ヲ除クノ外第三紀始新統ノ砂岩礫岩ノ累層ヨリ成ル海岸一帶ニハ高サ二〇メートルヨリ八〇メートルニ及ヘル断崖相接シテ連ナリ妙見崎ト蓬莱嶋ノ附近ニハ大小ノ島嶼岸ニ接シテ碁布スルアリ島上及ヒ崖頭ニハ老松ノ参差トシテ風趣ヲ添フルヲ見ル崖下ニハ到ル處隆起海床ノ高サ三メートルニ及ベル低段丘ヲ成シテ相連ナルヲ見ル暗黒ナル石墨片岩ヨリ成レル部分殊ニ異彩ヲ放ツ
妙見崎ニハ妙見洞門及妙見洞窟アリ前者ハ高サ二〇メートル幅八.五乃至二〇メートル、長五〇メートルニ及ベル大洞門ニシテ容易ニ小舟ヲ通スベク相交叉セル二條ノ断層ニ沿フテ生シタル波蝕洞門ナリ後者ハ相交叉セル三條ノ断層ニ沿フテ生シタル狹長ナル三個ノ波蝕洞窟ガ内部ニ於テ相通シテ一洞窟ヲ成セルモノニシテ其ノ形甚ダ奇ナリ両者トモニ断層ト波蝕トノ関係ヲ明瞭且巧妙ニ示セル点ニ於テ罕ニ覯ル所ナリトス 妙見窟ハ砂岩ノ厚層中ニ生シタルモノナルニ係ラズ洞内ニハ大小ノ鍾乳石懸垂シテ甚ダ奇観ヲ呈ス蓋シ砂岩中ニ石灰分ヲ含メル部分アルニ由ルナラン