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法多山の田遊び

はったさんのたあそび

概要

法多山の田遊び

はったさんのたあそび

無形民俗文化財 / 中部

選定年月日:19971204
保護団体名:法多山尊永寺田遊祭保存会

記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財

 これは静岡・愛知県方面に分布伝承されている観音堂・阿弥陀堂などの初春に行われる修正【しゆしよう】・修二会【しゆにえ】(おこない)の芸能の一つで、豊穣予祝【ほうじようよしゆく】の芸能、田遊びを主としたものである。
 毎年一月七日、真言宗の名刹法多山尊永寺の本堂横の大師堂にて、山下の村方衆によって執り行われる。諸道具を携えなどした村方衆一行の行列は、寺方衆の行列と合流して本堂に行き、読経の後、この芸能が始まる。総代・檀徒衆が列をなして座した前で、「太刀」「棒振り」の方固めの舞二段が演じられ、その後、「しらくわ」「牛ぼめ」「のっとう」「鳥追い」「五月女【そうとめ】」の田遊びの次第五段が演じられる。舞台中央に据えられた大太鼓の鼓面を田に見立てて田打ち、昼飯休憩・牛ほめ、種蒔き・祝詞、鳥追いの動作を歌詞と簡単な所作で表現し、また花笠を被った早乙女(一〇人)に羯鼓【かつこ】打ち(一人)が一緒になって、田植の模倣を踊りの形で演じる。こういった田遊び一連の次第の後、外で的弓【まとゆみ】の行事がある。
 法多山の田遊びは、羯鼓打ちが登場するという独特の田植の次第をもっており、全体的に狂言風、千秋万歳【せんずまんざい】風に仕立てられており、さらに農耕作業過程の模倣が七段構成に取りまとめられているなど、田遊びの変遷の過程を知るうえで貴重なものであり、また地域的特色にも富んでいる。

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