小春
こはる
概要
秋草を背景に、公家や高級武家の子どもと思われる人物が、ほつれた檜扇を手に、大きすぎる浅沓を履き、そぞろ歩く姿は無邪気さを表すかのようである。
歴史人物画の大家である松本楓湖の画塾で古典模写などによる修習の痕がうかがい知れるとともに、カルカヤや藤袴といった秋草の描き方からは、写生によって得られた自然に即した軟らかな表現が見られる。
この作品は御舟が15歳の時に、巽画会へ初出品し入選を果たしたもので、「私の最初の画歴となるものである」と回想している。
のちに画風を変化させながら多くの名作を残したが、この作品からは御舟自身の初々しさも感じられるようである。