絹本著色准胝仏母像 けんぽんちゃくしょくじゅんていぶつもぞう

絵画 / 平安

  • 東京都
  • 平安
  • 1幅
  • 東京都台東区上野公園13-9
  • 重文指定年月日:19850606
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 独立行政法人国立文化財機構
  • 国宝・重要文化財(美術品)

 准胝仏母は七倶胝仏母などとも呼ばれ、主に増益や延命などを祈る修法の本尊とされる。真言宗では平安時代後期に六観音の一つに入れて信仰されるようになり、天台宗でもその影響を受けた形跡はあるものの、天台寺院の青蓮院に伝来した本図はやはり准胝仏母として信仰されてきたと考えるべきであろう。
 准胝の像容については「仏説七倶胝仏母准胝大明陀羅尼経」等に詳細に説かれており、それに従った例には広隆寺本(重要文化財)等がある。本図の像は三目十八臂で持物もほぼ儀軌に一致することから准胝と認められるが、しかし座下が池でなく床、頭上に浄居天がなく天蓋のみというように、儀軌にとらわれぬ構成を行っており、また台座に大きい妙花を配して荘厳するという独特の形式も注目される。
 作風は、柔らかい暈しを含んだ多彩な彩色や、着衣の精緻な文様をはじめとする截金が、豊かな装飾性を示し、平安時代後期の特色が著しい。欠失部分を補って描いたところが多く、そのためかえって印象を損っている点が惜しまれるけれども、遺品の乏しい准胝像の中でも図像的特色に富む一本として、また平安後期仏画の好例として価値の高い作品である。

絹本著色准胝仏母像

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